ミュージカル 花園 HANAZONO

舞台芸術集団 地下空港 座・高円寺 春の劇場02
新作ミュージカル
『花園 HANAZONO』

作・演出・作曲 伊藤靖
音楽(編曲・演奏・録音) 権頭真由佐藤公哉(3月満月)
2019年4月13日(土)~21日(日)@座・高円寺

 

舞台芸術集団 地下空港が2019年4月、構想約18年のミュージカル『花園 HANAZONO』を創作致します。鎌倉末期~南北朝時代を背景に、深山幽谷に隠された謎の園と、そこに引き込まれる人々のドラマを描き出します。

鎌倉末期の歴史が蠢く時、一人の少女が深山幽谷に隠された花園に迷い込む。
そこで少女は園丁(園の番人)・竜胆(りんどう)に出会い恋に落ちる。
その園には、深い秘密と、美しい主が待ち構えていた・・・

http://bacter.elephantstone.net/project/467

 

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ミュージカル「花園」を観劇しました。

花園総括

全体として
個人的に物語と作品のメッセージは分けて考えたいタイプなのですが、今回は互いが密接に関わりあるつくりで、物語を考える上で作品のメッセージを考える必要があり、個々人のメッセージの受け取り方によって物語の意味が異なるのが面白いです。沢山の人の感想や考察を知りたい。
一方、目の前の光景がとにかく美しくて、お芝居というより芸術作品に触れた気持ちにもなりました。私は照明の美しさを誰かに伝えたい。演者を照らすのではなく空間を浮かび上がらせるような照明で、濃いめのスモークの効果もあってか異世界に迷い込んだようでした。これは舞台袖がないつくりも大きかったと思います。舞台袖がないことで舞台上と客席が一枚の壁と天井で段差なくつながり、劇場全体で1つの直方体の空間を共有しているようでした 日本の伝統色を使った衣装も優しい色合いで空間によく溶け込み、素敵でした。
音響もとてもよくて、終盤の水に沈むシーンは4DXでした。椅子どころか劇場が揺れましたよね。
 
舞台袖がないことで、演者の皆さんは出番以外の姿も観客に見られることになり、ひと時も気を抜けず2時間10分気を張りっぱなしの大変な状態だったと思います。待機中の演者さんは皆さん舞台を真剣なまなざしで見つめていらっしゃって、こちらも自然に背筋が伸びるようでした。舞台上と客席で作品を作っているような気持ちになり、これってつまりは演劇だよなぁと当たり前のようで普段はなかなか感じられないことを思いました。
 
物語について
物語の内容は見たとおりだと思うので、これは私の解釈です。
集団と同調圧力、そこからの脱出がこの作品のテーマだと私は思いました。
ネットワーク上でも現実でも、私たちは集団に属して生きています。学校や会社はもちろん、家族や友人グループもそうですし、LINEグループやTwitterのFF間もです。集団に属すると多かれ少なかれ「集団の意思」を優先することとなり、「個人の意思」は抑え込まれます。この「集団の意思」が、意図的か、あるいは意図せずに偏った方向に向かった結果、過度の同調圧力が発生します。強烈な同調圧力のもと、集団に属する個人が集団の意思に流されるままに現状を受け入れ、個人の意思が抑え込まれている状態が作中の八条院領です。
主人公の竜胆は荘園の園丁で八条院同調圧力の下にいます。彼は、荘園の外から来た「私」と出会い背中を押してもらうことで、八条院の支配に違和感を感じ、自分の意思を取り戻します。そして強い意志をもって同調圧力に否をつきつけて集団を解体し、一人ひとりが自らの意思を持った状態へ、そして自らも自らの意思を持った本当の自分になる決意をします。自らの意思を持ち、自らの心に従って行動すること。それが同調圧力に満ちたこの世界を変えるために大切なのだということ。これがこの作品から私が感じた事です。
 

公演DVDが発売されます。ご興味のある方ぜひ!

 

 

 

 ログ

公演期間中に感想や考察をたくさんツイートしたので自分用のログとしてまとめておきます。思いつくままに呟いているので言葉遣いなどはご容赦ください。

初日前


新作ミュージカル『花園 HANAZONO』予告篇MV

竜胆の花言葉は、「悲しんでいるあなたを愛する」「あなたの悲しみに寄りそう」です。

 

初日

会場に入りました

 初日観劇後

2019/4/13 21:34

衣装ピクミン…!
いや…フォルムがみんなピクミン………かわいい………
………

そうしてください。 

 
2019/4/13 21:53
一度客席に入ったら最後、出られないと思え
開演15分前に客席に入ったら既に舞台上に演者さんたちが沢山いて、黒鳥のようにアンサンブルさんがワイワイ雰囲気づくりしてるのかな?と思ったら全然違った 溝口さん含むフルメンバーでウォーミングアップしてた…! 皆さん静かに内に内に集中していて、これ客席についたら最後、立ち上がったり物音を立てたりできる雰囲気じゃない…! 溝口さんは初日の緊張からか、ちょびちょびペットボトルの水を飲んだり、男性キャストに話しかけにいったり、また水を飲んだり、男性キャストに話しかけに行ったりしてました。ちょっとそわそわしてる…

で、そこからシームレスに舞台に突入! 席についたら最後だぞ!
 
2019/4/13 22:08
ペットボトルで気付いた方もいるかもしれませんが、この作品、舞台袖がありません 
舞台袖が無かった。舞台上の左右、床の色が白でないところが舞台袖の扱いで、そこに座布団が置いてあって出番でない演者さんは座って見ている、という形 小道具とか簡単な衣装替え、可動セットの準備姿も客席から見える なんならみなさんのペットボトルも見える これ役者さんは全く息を抜けない大変な作り……
ちなみに舞台裏はある 逆サイドへの移動は裏から
 

 
2019/4/13 22:49
花園初日所感、花園は竜胆が自分自身を取り戻す決意をする話、というか竜胆がヒロインでよろしいか 
100年間閉じていた園で八条院の寵愛を一身に受けた竜胆には、既に竜胆になる以前の記憶はない。私という異分子が園に入ることで、自分自身が誰なのか何なのか疑問をもち、私に惹かれることで、また、八条院や園のまやかしから解き放たれた人々を目の当たりにすることで、竜胆ではなく自分に戻る決意をする話、と、とりあえず大筋を初見で理解しました。ちょっと全部飲み込めてないけどそれは次回に持ち越し。

私がね、強いの! とにかく強い、力強い、生命力に満ちている さながらヒーローのように見えました。対して竜胆は少しづつ自分の自我に疑問をもち揺れ動き、私に手を引いてもらう役で、つまりはヒロインでした。いや、あんなかわいい子そりゃ側に置いて洗脳に洗脳を重ねて従順な愛し子にしますよね八条院様。わかります。

今回のキャストのみなさんは全員めちゃくちゃ高いレベルで歌って踊れてお芝居できる方ばかりで驚いたんですが、溝口さんも負けず劣らずでした。特にダンスのしなやかさ、美しさはため息が出そうだったし、一挙手一投足、目線の1つ1つが美しいのなんの…! 歌もとんでもなく上手くなってたんですが、如何せん曲が難しすぎて、ちょっと音程が怪しいぞ?ってとこが気になったかな。というかよく皆さん音外さずに歌えるね…?凄いですね…?

後は、八条院様の力に触れたときの体での表現力に目を見張った。今までの溝口さんと違うぞ…? 体を使った表現が、今までより一階層深いところで出来るようになった、ように感じた。凄いからみんな見て。

ここからはネガな感想なんですが、

私が強すぎるのと、崩れるまでの竜胆が凛としすぎてて、二人が惹かれていくさまが見えないなぁと思いました。私は私で侍女と2人で力強く話を回していくし、竜胆は淡々と私を助けたりかばったりするけれどその下の真意が見えづらかったり。序盤で私の歌に反応していたのはわかったけど、お互いが惹かれ合ってるとわかるシーンまで私にはお互いへの気持ちが恋のように見えなかったんだよなぁ。この2人が惹かれていくさまがみえないとラストシーンに説得力が無くなってしまう。これからこなれていくといいな。 

百鬼オペラ「羅生門」、素晴らしい作品でした。 
 
2019/4/14 9:04
おみぞさんさあ、昨日は相当緊張してたと思うんだよね 
カテコ1回目はいつもどおり、本日はご来場頂き誠にありがとうございました、で、2回目は、遅い時間なので気をつけてお帰りください(うろ覚え)、という一言と、本日はご来場頂き誠にありがとうございました、だった。
ジョン万次郎の時もだったけど、いつもは饒舌で物販紹介や円盤の販促をしまくる溝口さんは、主演舞台のカテコで真ん中に立つと途端に口数が減る。喋らなくなるだけじゃなくて、やりきった達成感とともに、お客さんの目にはどんなふうに映ったかな…?という少しの不安を抱いているのが私には見て取れて、それが役者だとかお芝居だとかを超えた溝口さんそのものの感情に思えて愛しくなる。
始まる前も、大丈夫???って思うくらいお水飲んでそわそわうろうろしてたもんなぁ ものすごく緊張してたんだね…ペそっとお耳が寝てるわんこに見えた…上目遣いで、どうだった?って聞いてくるあの感じ…
溝口さんって、全然自分に自信のある人じゃなくて。たくさんたくさん努力して、役者・溝口琢矢の姿を見せてくれている。素の自分を見せないのは彼の剣持。それがほんの少しほころぶカテコの姿はどうしようもなく愛しい。そのままでいてください…
余談ですが、初主演舞台で共演者に575で感想を述べよと事前通告なしで振ったかおるはほんっとうに強いと思います。
2日目、TLに続々と感想と考察が上がってきた。

 
2019/4/14 21:30
花園、初見だと竜胆が本当は誰かわからなかったんですよね… 気が触れていた方か、私の父かどちらかだとは思ってたんですがなるほど、花園天皇ですか…
みなさん歴史詳しくて凄い…私は名前も覚えて帰ってこられなかったです
予想の前者だと、もう一度しっかり見ないと諸々わからないなぁと思っていて、予想の後者だと2人の間に強い恋愛感情が見えないのも納得だなぁ、なんて思ってました。で、この場合は既に為兼は亡くなっていて、花を抜いたその時に竜胆の存在もろとも消えてしまったのかなぁ、と。それを受けての最後の歌かと思ってました。でもそれだとなぜ八条院の寵愛を受けているのか説明がつかないし………と、悶々としてました。

なるほどーーー!!!!!
 記事も上がりました

初日の記憶を元に、あれこれ考え始めます。

 
2019/4/15 0:07
園の住人が水に弱いのは、穢れだからなんですね 
水で穢を洗い流すアレですね。水垢離とか水行とか手水。
人の理を外れて怨念でこの世に留まり続ける八条院は穢の存在でしかない。だから水をかけられて清められ大ダメージを受けた。園の人々も洗脳が深ければ深いほど穢を身のうちにためてしまい、水に弱くなる。なるほど…
園を維持するためには水は一滴なりともあってはならなかったんだなぁ、と。
 
2019/4/15 0:17
八条院が竜胆に執着するのは、以仁王と似ているからなのかな 
以仁王は幼少から英才の誉れが高く、学問や詩歌、特に書や笛に秀でていたそうで。(wikiより) 一方、富仁王も歌道・学問・書道に優れ、特に和歌では京極派の主要人物の一人だと。(wikiより)
二人とも若くして文芸の才に秀でていて、さらに、若くして自分が居るべき場所を追われたもの同士。八条院は、血筋も理由の1つだろうけど、竜胆(=富仁王)に以仁王の面影を重ねてしまったのか… だからこそ他の誰でもなく竜胆でなければならなかったのか…

ああでも違うかも。八条院は生身の富仁王には興味がなさそうだったもんなぁ…うーん
 

私さん、このあたりの歴史は、うっすらと大河ドラマ平清盛」の記憶があるのみです…
 
2019/4/15 8:38
うーん…女郎花の存在と、なぜ血が必要だったのかがわからない… 唸りながらふせったするのは怜々蒐集譚ぶりです
これがわかると竜胆と富小路についてもわかると思うんだけどー わからねーー!!
 
事態急変

で、

 

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作った。

パワポでぱぱっと作って、身内の皆さんの予習に使ってもらえればと思って流したら思いのほか沢山の方に見ていただいて驚きました。もう少し見やすく作れば良かったね。。。

できるだけネタバレは避けたいと思い、八条院後醍醐天皇が同じ時代に生きていたように見せようと思っていました。あとはあえて兄の名前を書かなかったり。富小路天皇を太字にして伏見天皇と親子だということを書いた方が良かったなぁと反省。

 
2019/4/16 17:09
竜胆の衣装って、リンドウの蕾みたい
前の合わせや全体のフォルムがリンドウの蕾に似てるなぁ これから綻んで花開いていくんだな… 
ピクミンとか言ってごめんなさい…だってフォルムと頭の花がさあ…ピクミン
一部の方にピクミンにしか見えない呪いをかけてしまったようで申し訳ない…笑

最大の謎へ
2019/4/17 3:19
個人的には竜胆と私のキスしっくりこないんですよね…
※花園ネタバレ
初日の所感には竜胆と私の恋愛感情が見えにくいと書いたんですが、そもそも恋愛感情ではないんじゃないかと思ってたりもしていて、それで竜胆=私の父説を考えていたりした…そもそもそういう感情が芽生えにくい関係なのではないか、と

ひょっとして、あらすじの「竜胆と私が恋に落ちる」というのは公式がミスリードを狙ったんじゃないかとも考えていたんですが、どうでしょうね…? なぜそんなの狙ったかって?恋ってワードがわかりやすくキャッチーだからです 実際は恋ではなく、何故だかわからないけど無性に相手の存在が気になる状態なんじゃないかと思うんだよなー

竜胆と私のキスシーンは多聞と女郎花のキスと対になるように配置されているけど、多聞は明らかに女郎花に恋愛感情を持っているんですよね 竜胆の感情が恋の手前の恋ではない感情だとすると、多聞との感情の違いを考えるとキスではなくて、相手を見つめて確かめるように頬を撫でる→額コツン、の方が個人的にはしっくりくるなぁと思ったり

いやでも即物的に相手を求めるほど竜胆の心が揺れ動き変わってきているのを見せるにはキスが適しているのかなぁ

まあ、まだ1度しか見てないので明日には違うこと言ってるかもしれん 次見るときは、がっつり恋愛してんじゃん!って捉えるかもしれないしなー 

おそらく意図してミスリードを誘ったのだと公演が終わった今でも思う。

公演のキャッチコピーも兼ねたあらすじとしてはキャッチーで想像しやすい言い回しをすることは大正解だと思うし、作品のテーマとしてもあらすじという作品の表面をかいつまんだものに流されるなというメッセージが込められている、気がする。考えすぎですかね。

 

衣装の裾が、柔らかくて気持ちよさそうでした。もふもふしたい。

 

観劇2回目

 
2019/4/18 2:00
花園2回目所感、初回観劇の答え合わせなど
やっと話についていけました 誰や大筋は理解したって言ってたやつは 予習復習大事ね

・竜胆の正体
富小路天皇だったんですね てかはっきりそう言ってましたね 私は初回で一体何を見ていたんだろう(キャパオーバーしてた)
後醍醐天皇の譲位〜即位〜倒幕のシナリオの中で、富小路天皇を失脚させるべく後醍醐は文観を通して八条院と通じ、本物の富小路八条院の元に隠し、身代わりの花人形を京に置いたと ここでいう花人形は植物でできた傀儡で、恐らく血を飲ませた人のかたちになる
本物の富小路八条院により記憶を消され名前を変えられ、八条院の可愛い息子になった、と ふむふむ
ちなみに竜胆が本物の富小路という事は、後醍醐、文観、八条院、建御前が知っている

・女郎花の正体
女郎花も建御前の花人形でした 多分ね、花人形は血を飲ませた人の望む姿になるんじゃないかと思う 富小路の花人形に自我がなかったのは水を飲まされて狂わされていたからか、洗脳下の竜胆に自我が無かったから 女郎花に自我があったのは建御前がそう望んだからなのかなと思った 私には、女郎花は自分のこころにどこまでも正直な、純粋な存在に見えた 建御前は八条院の侍女として自分の感情を抑えて生きてきたんじゃないかな その抑えてきた感情を女郎花に託して、彼女を愛でる事で心のバランスを取ってきたんじゃないかと思った あなたはわたし、わたしはあなた おもてとうら 有限と無限 消えるときはいっしょ
刀を振るう女郎花と建御前の姿がそっくりで胸がつまった

・後醍醐と八条院のたくらみ
後醍醐は文観の進言により八条院の力を利用した倒幕を企てた 一方八条院は後醍醐のたくらみを逆に利用して、文観に少しづつ花人形の調子をおかしくさせることで後醍醐をおびき寄せて、八条院領を自分のものにし竜胆を天皇にしようとした どちらのたくらみが叶っても勝者につけるような立ち位置にいる文観は狡猾だなぁ

八条院と竜胆
八条院は亡くした義理の息子・以仁王の面影を竜胆に重ねていたんですね まずは天皇家の血筋、そしてきっと姿や性格も似ているところがあったんじゃないかなぁ 八条院は竜胆の向こうの以仁王をずっと見ていた そんな八条院に、洗脳されていたとはいえ竜胆は寄り添っていたんだな 竜胆の花言葉、貴方の悲しみに寄り添う、そのままに

・竜胆と私
やっぱりふたりの間には恋愛感情はないと思う ここはまだ理解しきれてない 竜胆→私はまだわからない事もないんだけど、私→竜胆の感情が…みえない… 次回へ持ち越しです 

大きいところはこんなところかな?

後は雑感

・竜胆さん、所作がとにかくキレイで隠しきれない育ちの良さ 物語終盤は人の上に立つものの風格も見えた さすが天皇
・ラストシーンで、私の頬に触れる竜胆の表情がとにかく切なかった その後、溝口さんの表情が竜胆の表情から見たことのない表情に変わっていって暗転するの、凄すぎてぞくりとした とんでもない人を好きになったな… 
・女郎花が切られた時、竜胆が怒りを隠しきれない表情をしてた 女郎花に言葉をかけたりはしなかったけど、きっととてつもなく怒ってる
・廉さん大好き この作品の清涼剤です
・女郎花だいすきかわいい
・兄さんもだいすき
八条院様もだいすき 人間を捨ててしまったけど、誰よりも人間臭くてさみしい人 きっと寂しがりやだよ
・吉高くんと溝口さんの2人曲が聞きたいなと思ったり 声の相性よさげ
 
2019/4/18 3:06
これ友人の発案なんですけど、花園のキスシーンはラストの方が良かったのでは?
友人、楽しんでくれたようで良かったです
感想を聞いていたらやっぱりキスシーンが解せないようで…いつ恋に落ちたんや…キスする必要なくないか…?なぜ…?と数日ズレて私と同じ感想を抱いていました ですよね〜 もやもやした感情を確かめるためにキスすることもあるよね…?でとりあえず乗り切ったみたいですが

そんな友人曰く、キスシーンはラストの方が良かったんじゃない?ということで考えてみた

二人が心をはじめて通わすシーンはキスではなくてそっと手を握り合って微笑み合い、額コツン…ああなんだか微笑ましい…初々しい…かわいいぞ…

ラストシーンの花を抜き記憶を失うところで、今までの諸々の感情を抑えきれずに、竜胆が消える直前に別れのキス、竜胆は消え、そこには富小路が立つ…おお…なんだかとてもとても切ない…これは結構いいかもしれない…
やはりしっくり来ない。竜胆→私は尊敬だったり感謝の気持ちが見えるのだけれど、私→竜胆の気持ちが見えない。恋慕にも見えないし、同情にも見えない。人類愛にも見えない。どうして私は「あなたの傍にいたい」と言ったのか、どうしてキスをしたのか、わからない。

 

 

 

観劇3回目

 
2019/4/18 18:03
花園3回目所感 アイメイクについて
今まで後列上手、後列やや下手と見てきたところで、今日はまさかの最前どセンターでした 見えるものが全然違うな〜! 後列は作品世界への没入感が強くて、前列は細かい表情などの気付きが多い どちらもよきよき 見れば見るほど全員が愛しくなる作品だなぁと思いました 

近くで見たからこその気付きなど 

・アイメイクと竜胆
ずっと竜胆は右上瞼にだけアイラインと青いシャドウを乗せてるんだと思っていたんですが、近くで見ると違っていて、左目の下瞼の際に短いラインと少しのシャドウがのっていた どういう意図なんだろうと思って見てたら規則性があることに気づきました
これ、八条院の術のかかり方でアイメイクの入り方が違うんじゃないですか…? 上両瞼にラインとシャドウが強く入っている状態が完全に術にかかっている状態で、片目は上瞼で片目が下瞼にラインとシャドウが入っている状態が、術にかかりつつも「術をかけられている事がわかっている状態」ではないですかね…?
とすると、竜胆のアイメイクの意味するものは、術から覚めかけている、という事を意味しているのではないかと思いました 同時に、誰よりも強く両瞼にアイメイクをのせている八条院は、自分に対して一番強く術をかけているんじゃないか、かかって欲しいと願っているんじゃないかとも思って、以仁王を失った悲しみの深さを想いました…誰よりも忘れてしまいたいと願っているのは自分なのか… そして術から覚めかけている竜胆は、八条院の本心をわかっていたんじゃないかなぁと思った

・建御前と女郎花
あああ…見れば見るほど愛しくなる2人…
女郎花は建御前の花人形ということは前回理解したんだけど、よく見ると衣装の形も2人は全く一緒な事に気づいた 姉妹でも衣装の形を変えているので、これで建御前=女郎花なんだと確信が持てました
それに加えて、花の付け方とアイメイクが2人で左右対称になっているんですよ しかも、片目は上瞼に強いラインとシャドウが、もう片目は下瞼に強いラインとシャドウが、涙の跡のように乗っている…
これが二人が相対するときに効果的に使われていて、喜びのときは、例えば女郎花に血を飲ませるシーンは上瞼のラインが見えるように向き合い、悲しみのとき、女郎花が切られた後のシーンは下瞼のラインが見えるように…血の涙を流してるみたいに…向き合うんですよ…つらい… 建御前の抱える絶望が見えるようでした
 

 
2019/4/19 8:50
花園3回目を終えて思うこと
※ネタバレでも感想でも考察でもないただのひとりごと
今日の花園よかったなぁってオタクがくだ巻いてるだけです

いやー今日の花園ほんとうに素敵だった! 良いものを見せてもらいました 前方列で溝口さんのお芝居をじっくりと見られて、ああもう!だいすきです!!の気持ちです もちろん後方列でもすきだーー!ってなってるんですけどね
公演を重ねる毎に歌もお芝居も滑らかに、感情が内からどんどん溢れだしてきてて心を鷲掴みにされております

今日の公演は、なんだかね、全部がキレイに噛み合った気がしたんですよ
毎回全力で作品を作って下さってるのは重々承知の上で、やっぱり公演を重ねることで磨かれたり纏まっていくものもあって 初日は荒々しくも圧倒的な熱量で花園の世界を立ち上げたのを感じたし、2回目は纏まってきた中でも演者ごとに意識のベクトルがほんの少しズレてる気がしたりしてた 今日はそのズレが無くなって1つの波形に収束した気がして、ああ、作品が完成したなと思ったんですよ 最後に暗転したあと、無言でうんうんと頷く私がいました 何なら涙も滲んでた

ストイックな皆さんが作るこの作品、今後はこの美しい波形を増幅させていくんだと思う 楽しみでしかないです…!
 
2019/4/19 12:49
卯丿花撫子は物語の後にどうなったのか…
※花園考察
園丁として園丁ネームをつけられて八条院の元に居た人々は全員実在の人物なんですよね 史実との関係が大変興味深い本作です

竜胆…富小路天皇(=花園天皇
入道…喜賀丸
多聞…楠木正成
卯丿花、撫子…藤原範子、藤原兼子

富小路天皇後醍醐天皇に譲位した後、甥の養育に力を注いだり、京極派の歌人として活躍したようです 信心深い人でもあったようです 八条院様の菩提も弔っていたのかもしれないですね
花園天皇と呼ばれるのは亡くなってからです 素晴らしい文を沢山後世に遺しています

楠木正成は後に後醍醐天皇に仕える武将として活躍しています ちなみに多聞は正成の幼名の多聞丸が元になっていて、多聞は毘沙門天の別名である多聞天が元になっていると思われます 毘沙門天といえば四天王の一人で武神ですね ここらへん女神転生シリーズ好きな私さんはうきうきしてきます 八条院が嫌ったのも、女郎花が屍の匂いを嗅ぎ取ったのも納得です

私の父・京極為兼流罪となった土佐から帰ることなく亡くなっています 園の樹木となり生きて帰ることができなかったという話運びとも一致しますね

私の兄、喜賀丸についてはよくわかりませんでしたが、後の歴史に名前が残っていない事を考えると、作中で亡くなるのも納得です… 橘入道と、自分の名前に多聞の姓の一文字を入れていたことを思うと、心優しい方だったのかなぁと思います

卯丿花と撫子は、藤原範子、兼子と思われます 姉妹で後鳥羽上皇の乳母を務めるなど、仲の良い姉妹だったのかなと思います ただ、この姉妹は源平の時代の人で、後醍醐天皇の頃には既に亡くなっている方々なんですよね… 先輩園丁ということで、早い段階で園に連れてこられ、長い時を過ごしていたのでしょう…

物語の後、二人は元の時代に戻ったのでしょうかね…それとも今の時代には存在できず消えてしまったのか…タイムリープしたまま生きることになるのか…

そして、「私」だけは史実に存在しない人物なんですね ここのあたり色々考える余地がありそうです
  

 

 ダイジェスト公開

 

 


溝口琢矢:ミュージカル「花園 HANAZONO」ゲネプロダイジェスト

 

千秋楽を前に、竜胆と私の間にある感情について、私の中で一つの結論を出した。 
2019/4/21 7:47
とは何だったのか 花園という作品が伝えたいメッセージとは
※花園考察
※私的解釈を多分に含みます

文章力が足りない…伝わる気がしない… 
私とは何だったのか、ということをぼんやり考えていました ただ一人、主要人物の中で歴史上に存在しない人 名前のない人 匂いのない人
わたしが私から感じるものは圧倒的な強さと正しさなんですよ 信じる道を迷いなく突き進み、間違いも迷いも断じて正し、素直に涙を流す姿は少し怖さを感じるほど

私とは何なのか考えた結果、1つ思ったのが、私とは「真の自分」だったのではないかということ

この作品は、親子の関係や格差など現代の社会を思わせるメッセージが沢山つめこまれていますが、わたしが強く感じたのは「同調圧力」と「仮面」でした 園の中では八条院を中心として集団に属する全員が強制的に同調させられています 個人は園丁ネームをつけられて仮面をつけさせられ、仮面をつける前の本当の自分を見失って、雁字搦めになって生きている、現代だと会社だったり友達付き合いだったり、集団に属するとよくある光景です

そんな中で、自分を見失った竜胆に気付きを与えるのが私です 匂い立つ心のままに、私の歌がきっかけで竜胆は少しづつ仮面をつけている自分に違和感や疑問を持つことになります

私は竜胆の本心や本能にあたるものだと思うのです 心の赴くままだからこそ、圧倒的に強く正しい そして私と常に一緒にいる廉は理性です 本能があるからこそ、それを制御する理性が生まれます

竜胆が私を気にするのは、見失っていた自分の本心だから 私が竜胆のそばに居たいのは、仮面をつけて自分から離れていった自分自身だから
二人の間にあるのは恋愛感情ではなく、同調圧力により分かれた一人の人が1つに戻りたいと願う欲求だったんじゃないかと思うのです

唇を合わせ心を通わせることで竜胆は自分自身の本心を得て、花を抜くことで仮面を脱ぎ捨てて同調を強いられてきた1つの集団から旅立ち、富小路に戻ります 本当の自分への回帰、これが本作のラストシーンなんじゃないかと思います

集団の中で自分の意見や意思を貫く事ってすごく難しいですよね それを取り戻す事は、竜胆にとっては夢のような事なのではないのかなぁ そう思うと、ラストナンバーの歌詞には別の意味合いを感じたりたりします… 

ところで、冒頭のセリフについても考えてたんですよね これから語るのはほかでもないあなたのこと、と言って、私と竜胆は同じ動作で、こちら側とあちら側から根を断ち切り物語がはじまります これは、そのセリフのまま、これから語るのはひとつの物語ではあるけど、その実はあなた自身についてのお話、あなたへのメッセージなんだというこの作品の意思表示なんだと思います

この世界の誰もが竜胆で、誰もが八条院領のような過度の同調を求める現実の中で、誰もが仮面を被り、周囲に合わせて生きている けれど、誰もが心のうちに心のままの自分がいることを思い出して、自分の望む道を進んでいってほしい

わたしはこの作品からそんなメッセージを受け取りました

うーんもうちょっと作文が上手ければいいんだけど、私のスキルではこれが限界です 読んでる方に伝わる気がしないー!! 歴史の理解も含めて今回で私さんの知的レベルがバレた気もしますが、まあ良しとします笑

私なりの解釈ができたところで、今日は千秋楽 泣いても笑ってもラスト一回! 楽しみましょう!!
 
ちなみに冒頭のセリフを盛大に間違って記憶していました。受け取るメッセージには大きな違いはなかったんですが。お恥ずかしい…
 
 観劇4回目 千秋楽

 

千秋楽終了

 

そしてロスへ

 

「私」が実在していたという話を聞きました。

 

 

結局まとめることになりました。

 

 

 

 

 作・演出、出演者の皆様へ

皆様への想いが溢れすぎて一人ひとりへのメッセージを投下したので、併せて残しておきます。直接言えたりお手紙を出したら良いのでしょうけど、勇気がなくて。また他の作品で皆様と再会できたら良いなと思います。

 

おしまい。素敵な作品をありがとうございました! DVDが届く日を楽しみにしています。